小さな飲食店でのリピーターの作り方
小さな飲食店にとってリピーターは何よりも大切な資産です。
ここでのリピーターとは、定期的に何度も来店してくれるお客様のことです。
店の業態によって来店の頻度は変化します。
食卓代わりに使って貰えれば毎日です。
週に一度の楽しみに使ってもらえることもあります。
ご夫婦で月に一度はゆっくりとした時間を作りたい。
誕生日なら一年に一度。
様々なパターンがあります。
思い浮かぶお客様がどのくらいいますか。
目次
お客様と仲良くなってはいけない
リピーターを作るなら、お客様と仲良くするのが当然だ。
お客様は特別扱いされたいと思っている。
そんな考え方もあります。
ある意味では正しいと思います。
しかし、様々なパターンの中では正しいとは言えません。
お客様は自分にメリットを感じなければリピーターにはなりません。
お金を払う方と、お金を頂く者
この関係は最後まで変わりません。
ここに飲食物の提供があるので対等だという考えは持たないほうが良いです。
(自分も店が軌道にのり始めてから数年間は、対等関係と考えていました)
今はスタッフも含めて、お客様に対しては正しい言葉と態度で接することを徹底しています。
2002年からの17年間で少なくとも600回以上来店して下さっている方がいます。
(週に一回のペースで来店。夏季冬季休業や、ご本人のスケジュールなどを考慮して3割減して計算しています。)
このようなお客様にも、お金を払う方と、お金を頂く者 この関係は崩していません。
お金を払う時の心理状態は払うものによって全然違います。
税金や公共料金のように義務的に払うものなら、仕方ないな と思います。
飲食店の場合、代わりはいくらでもあります。
どんなに親しくなっても、お客様は、お金を払う方 の心理がはたらきます。
その事は絶対に勘違いしてはいけないと思います。
お客様にプライベートな質問をしてはいけない
お客様との距離間を縮めるために会話をすることは良いことで大切なことです。
以前の記事 7秒間の法則でポジティブになろう でも、最初は演技でも良いから会話をすることが大切ですとお伝えしました。
私は今でも実行しています。
ある御夫婦のお客様からの言葉です。
マスター(その方は私をそう呼びます)は、プライベートな事を聞かないところが良い。
との事でした。
この御夫婦はカウンター席に座り私との会話も適度に楽しまれています。
そんなお客様でもプライベートな質問はされたくないようです。
それが理由で何度か通っていた店から足が遠のいたことがあると教えてくれました。
適度な距離感は、お客様に心地良さを感じてもらえることもあります。
もちろんケースバイケースですが、この心地よい距離を築けたお客様は長いお付き合いができることが多いと感じます。
親しくなりたい気持ちが強すぎて、お客様に質問攻撃をしていたりしませんか。
お客様の名前を覚えなければいけない。
飲食に限らず自分の名刺を渡したがる経営者って多いです。
自己アピールはビジネスとして考えた場合は基本です。
お客様に名前を覚えて貰えれば一気に距離感が縮まります。
再来店してもらえる率も高まるでしょう。
でも、もっと大切ななのは、お客様の名前を覚えることです。
名刺を下さるお客様は時々いらっしゃいますが、めったにいません。
初来店のお客様の名前をうかがっても記憶する事は難しいですし、お客様もそれなりに気に入ったお店や相手でなければ名前を名のりません。
小さな飲食店では、お客様の名前と顔が一致する接客を心がけましょう。
大手では名前と連絡先があれば下手な鉄砲も数打てば当たる的な販促が成り立ちますが、小さな店では、そこに顔が一致する必要があります。
販促目的で名前を聞かれても嬉しくもないですし、人によっては迷惑と感じることでしょう。
しかし自分が気にいっている店のスタッフから名前で声をかけられたら、それは表面的な販促の何倍も効果的です。
何でも、お客さんの目線で考えれば分かりやすいでしょう。
礼儀を欠いた行いで大切なお客様を失った事
色々と語っている私も絶対に忘れられない、忘れてはいけない失敗を経験しています。
ある著名な方のご家族が私の店に何度もご来店くださっていました。
とても気さくな方で私に対してもスタッフに対してもフレンドリーに接して下さいました。
奢り高ぶることもなく謙虚な方でした。
週に2回3回。時には同じ日にランチとディナーでご来店くださる神様のような方でした。
ある日の私の、ある軽率な行いにより、そのお客様は二度と来店することがなくなりました。
どのような言動、行動であったかは割愛します。
文章にしても読まれた方には、それほど大きな問題には感じられないと思います。
友達ならば何の問題にもならないくらいのことです。
しかし結果的には大切なお客様を失うこととなりました。
それまでに築いたお客様との関係があったからこその失敗なのです。
まさに、親しくなりすぎての失敗でした。
長く続いていた関係でも、あっけなく終了してしまうのがお客様との関係なのです。
初めてのお客様を満足させる方法
まずは7秒間の法則でリラックスしていただく。
接客、雰囲気、味、価格が想定以上であること。
価格に関しては高い安いではなく、支払った価格に納得していただけるかどうかです。
笑顔で見送り笑顔でお帰りいただくこと。
再来店していただくための最低条件です。
リピーターになってもらえるかは2回目の来店が勝負
印象が良かった店に再度訪問してみたら、それほどでもなかったなんて経験ありませんか。
一度目に強烈な印象の料理や接客があれば、二度目は再確認する場になります。
多くの場合、やはり美味しかった!
居心地の良い店だった!
となります。
それが店の実力です。
逆に二度目に、それほどでも無かったかな?と感じられてしまったとしたら、それが現在の店の実力だと言えます。
自分の店の売りは何か。
味か、雰囲気か、接客か、などなど。
二度目の来店でも満足してもらえれば、3回、4回、5回の来店につなげていくことができます。
二度目のお客様への対応は、とても重要です。
料理人こそ積極的に、お客様と接しましょう。
料理人は職人です。
美味しいものを作ることに全力を尽くします。
美味しいもの、完成度の高いものを作れば客は集まります。
あえてカリスマ性を高める戦略もあります。
サービスは専門のスタッフに任せます。
有名な料理人が率いる店でよくある光景です。
しかし、小さな無名の店では逆のことをするべきです。
小さな店の料理人は料理を作ることと料理の魅力を伝えるプレゼンテーション能力が必要です。
厨房から飛び出してお客様と接しましょう。
料理やワインなどの魅力を伝えましょう。
感想を聞かせてもらいましょう。
聞く勇気がなくても表情で分かります。
お客様がお帰りの際には目を合わせてお礼の言葉を伝えましょう。
お客様が満足されたかどうかは、お帰りの際に全て分かります。
満足された顔を見ることができれば自信と励みになります。
逆の顔は、できれば見たくないですが、逃げていては進歩がありません。
時には酷評されることもあります。
私にも経験があります。
今では、その事を言ってくれたお客様に心から感謝しています。
料理人がお客様と接することによるデメリットは何もありません。
オーナーシェフであれば、なおのことです。
- お金を払う方と、お金を頂く者の関係を守る。
- 親しくなっても超えてはいけない領域には立ち入らない。
- 名前で呼べるお客様を増やす。
- 積極的に話を聞かせてもらい、励みにしたり反省する。
18年めの私が修正をしながら続けてきたことです。
店の数だけ様々なスタイルがありますが、共通点もあると思います。
当たり前のことばかり書きましたが、少しでも参考になる方がいれば幸いです。