イタリアンを目指してフレンチを学ぶと、どうなるでしょう?

2019年12月16日

イタリア料理店をやりたい。

 

この思いが脱サラの第一歩。

歳はすでに32歳。

普通に考えて遅い~。

 

さらに会社を辞めたのは、

それから3年後。

 

同じくらいの年齢で会社を作れば、

すごーい!

カッコいい!

若き起業家!と言われるんですが

私への、ご意見ご感想は

何を考えているんだ!

無謀!

もったいない(会社をやめる)!

素人が、うまくいく訳がない!

 

ネガティブワードのオンパレードでした。

 

私、基本的にポジティブなので始めてしまいましたが、

思い起こせば、ごもっともなことばかりです。

 

逆に、サラリーマンをやっていたから、

スタートが遅かったから良かったこともあります。

サラリーマン人生は多くの知識(料理以外)と、

少しのお金?を与えてくれました。

そのおかげで少々高い学費でしたが

世界一の料理学校で学ぶ機会を得ました。

出遅れた時間の何割かを短時間で取り戻す。

そんな内容の濃い期間でした。

一番大切な基礎知識を頭に叩き込みました。

 

技術は短期間では身に付きません。

時間と経験、そして知識の積み重ねです。

 

フランス料理学校を選んだのは良かったのか?

 

イタリア料理店を開きたかった私ですが、

入学したのはフランス料理学校でした。

当時はイタリア料理専門の学校は少なく、

西洋料理の基本はフランス料理と思い

フランスが本校の料理学校に入学しました。

ル・コルドンブルーです。

フランス一流レストランの歴代料理長、副料理長からの

指導が受けられます。

講義はフランス語(通訳あり)

一流シェフのデモンストレーション

実技も個別に指導してもらえます

 

一流の料理店で一流の料理人のもとで経験を積んだ方が、

次の一流料理人になるのが流れでした。

10代20代前半から始めないと到達出来ないです。

30代半ばだった私を働かせる一流店などありません。

ル・コルドンブルーで世界の一流料理人の技術を目の当たりにし

一流料理人の考え方に影響をうけました。

その少し前までイタリア料理を志向していたのに、

フランス料理に完全にのめり込んでいきました。

 

さらにエスカレートしてパリ本校に編入し

修了後は二つ星レストランで研修することもできた。

その頃のエピソードは別の機会に書こうかと思います。

 

パスタなしでは通用しなかった

 

フランスまで行って料理を学んできたので

フランスのビストロのような店を作りたかた。

前菜、肉料理または魚料理、デザートにコーヒー

フランスの街角にあるようなリーズナブルで洒落なお店です。

気持ちはフランス料理店なのですが、

低価格でメニューも用意しておこうと

パスタランチをラインナップしました。

すると、、、、、

ほとんどの注文はパスタランチでした。

 

開業して17年。

今もパスタは欠かせないメニューです。

あのとき(開業)フランス料理にこだわり、

パスタをメニューに取り入れていなかったら、

店は無くなっていた。

かもしれません。

 

吹っ切れるまで10年かかった かな。

 

パスタ無しで店は成り立たない。

そんな現実に直面しながらも

フレンチがパスタをやることを

受け入れられない自分がいました。

店のロゴにはフレンチもイタリアンもいれませんでした。

パスタをやるならフレンチは名のれない。

まがいなりにもフランスで料理を学んできたという自負があり

ささやかな抵抗で自分を納得させていたのです。

やってる本人が、そんな状況ですから、お客様は更に曖昧で、

イタリアン、パスタ屋さん、洋食屋、まれにフレンチ。

看板に店名しか書いてないのですから当然ですね。

暫くは、そんな悶々とした時間を過ごしてきました。

 

ついに来た 割り切れた!

 

パスタをやらないと店が成り立たない。

フレンチなのにパスタを作っている自分を正当化するため

お客様には

『 フレンチの要素を取り入れたパスタです! 』

そんな説明をしてきました。

パスタにフレンチンの要素?

自分には根拠がありますが理解しづらいですね。

 

ところが次第にリピーターのお客様から言われるようになりました。

『 イタリアンとは違うね 』

『 優しい味がする 』

それを求めてくれるお客様がいると思えたとき

自分の方向性が明確に見えた気がしました。

フレンチでもイタリアンでも構わない。

お客様にとってフレンチならフレンチ、イタリアンならイタリアン、

パスタ屋ならパスタ屋、洋食屋なら洋食屋。

それで良いと思えるようになりました。

ここで提供しているのは、

自分風の料理

そう思えるようになり呪縛から解放されました。

10年以上かかりました。

現在では、フレンチ、イタリアンの概念は薄くなりました。

美味しいものを自分が一番良いと思う方法で提供する。

それで良いと思っています。

それでも良いよと思ってくれるお客様が来てくれます。

笑顔でお帰りになられます。

それで良いんです。